バーチャル電子工作

OP275 出力側のカップリングコンデンサなし 入力は0.2vp-pのサイン波(実機はPCで生成)
OPアンプの本を読んだけど理解できない。分数の分母のところがまた分数になってるような式がいっぱい出てきてイヤ~ンな感じ。世の中のアナログ回路技術者の方々は、これをちゃんと理解しているのでしょうか。凄い。尊敬。

でも、ある本には「こうした煩雑な式を用いるより、回路シミュレータで定数を求めることが増えています」みたいな記述もあった。そりゃ分数の計算ばかりやってたら効率悪いですよね。

回路シミュレータは、雑誌を読んでいてもよく出てきます。SPICEとかいうやつ。コンピュータ上に仮想の電子回路を構築し、その動作を再現分析できる。サイバーじゃん! 難しそうなので避けてましたが、分数よりマシな気がしてきたので入門書を買ってきて一晩じっくり取り組んでみた。

OrCADのお試し版をインストール。回路規模の制約はあるものの、OPアンプ一発のヘッドフォンアンプの実験をするくらいなら平気そう。

作業は、まず回路図を入力するところから。作ってはみたけどいまいちスッキリしないヘッドフォンアンプ9号機の回路を入れてみた。何度か使ったEAGLEよりも快適に描けました。次にシミュレーションの条件を設定。オシロで調べるときと同じようなことを、画面の上でやるわけですな。そして実行。

写真はその結果。左は実機の入出力をオシロで観たもの。右がPSpice(OrCADの回路シミュレータ)の解析結果。現実とバーチャルが完全に同じ状態を示しています。カッコイイ!

電子工作に入れ込んでいるのは、実体のあるものを作る楽しさを求めてのことなんですが、回路シミュレータをいじっていたら、「バーチャル楽しい……」という感覚も立ち上がってきた。ていうか、おれバーチャル好きだし!

本来の目的であった、発振したバージョンを再現することには成功していません。シミュレータを使ったからといって原理の学習が不要となるわけじゃない。当然ながらシミュレーションと現実の違いって話もありますな。そのギャップに哲学の余地があったりね。もう少し探求してみます。

自分仕様

バラック
しつこく作ってるヘッドフォンアンプ。またシンプル路線へ回帰。これ以上減らしたら動かないくらい最小限の部品数。ケースもいらねえ! ていうか、入れ物をうまくアレするのが一番大変という結論です。なので、小学生の頃、カマボコ板の上にコイルやラグ板をネジ止めしてラジオを作ったあの感覚まで遡ってみた(実際に使ったのはカマボコ板じゃなくて、ハンズで買った花梨の木の板)。

ボリュームは2連タイプをやめました。2連ていうのは、ステレオ用に2つの可変抵抗器が一体になってるタイプね。ひとつのつまみで左右の音量が増減します。普通のステレオセットはそうなってる。それをやめて、チャンネルごとにひとつずつボリュームを配置した。こうすると、左右の音量を別々に設定できるわけですな。

どうも最近、音楽を聴いていると音が真ん中にこない感じがするんですよ。原因はいろいろ考えられますが(部品の精度が揃っていない? ヘッドフォンがいかれた? 自分の耳の問題?)、左右独立のボリュームにすることで、手動でピッタリ真ん中へ持ってこれるようになりました。気持ちイイ!

スライドボリュームだとそんなに不便じゃないし、これはこれでアリかも。変な仕様ですけど、自分専用のソリューションを試せるところが自作の楽しさですな。

現在の課題は使用するOPアンプによって発振が起きてしまう点。発振はダメです。ダメだけどアナログの面白いところでもある。でも、なぜ発振するのか、原理がよくわからない。そのあたりをちゃんと理解したうえで抵抗値などを決められるようにならないと、これ以上の成長はないだろうな、という意識はあります。そう簡単に理解できるとは思えないんですけどネ。

ライトパッチ

新宿ハンズのクリスマス用品売り場に、すごい量のLED電飾が陳列されていた。この冬、世界中でいったい何個のクリスマスツリー用LEDが売れるのだろうか。10億個とかだろうか。平均単価10円とすると100億円の売り上げだなあ、と思った。
5階にあがるとそれとは別のLED製品が占有している一角があった。キララファクトリーの『ライトパッチシリーズ』は、「光を貼るという発想から生まれた新しい概念の光装飾用部材」だそうです。パッケージ化されたLEDをアクリルブロックやガラス製品に貼るだけで、イルミネーションをデザインすることができます。秋葉原へ行って自分で部品を集めれば、もっと安く同様のことができますが、いくらかの電子工作方面の知識が必要。その点、ライトパッチシリーズはLED利用の敷居をグッと下げてる感じがしました。
商品棚の前では、女性が数人、真剣なまなざしで光るLED達をみつめていた。平日の昼間でしたから、インテリアや装飾関係の方々ですかね。応用分野の広がりを実感したワタクシでした。

ミント缶アンプ

ミント缶アンプ
ヘッドフォンアンプまだまだ作ってます。今回はケースでがんばった。いつか作ろうと思っていたミント缶タイプ。かわいい。でも、たぶんもうこの缶では作りません。だって加工が大変。

inside内部はシンプル。プレイヤーとの接続ケーブルが行方不明になりがちなので、コネクタを使わず直結としました。押すと引っ込みます(固定してないだけ)。赤いケーブルに替えたい。
interface操作系。デッパリを小さくするため小型のプッシュスイッチと円盤形のボリュームに。でも、ここで失敗がいくつか。最初にあけたスイッチの穴の位置が狂ってしまい、リーマーで広げていったらムダに大きい穴になっちゃった。そこからパイロットランプの光が漏れてキレイなので、良しとした。ボリューム用の四角い穴を開けるのに大苦戦。ドリルの穴をニッパでつないだんですけど、むしりとるように広げていったら、鋭利なバリが残った。ヤスリがけに疲れたので細かいトゲトゲはそのまま。うっかりさわると指が切れます。教訓、「丸い穴だけで済むようにパーツを選ぼう」。

コミュニティ・エレクトロニクス

昨日リンクしたchumbyのようなデバイスは増えていくと思います。廉価なパーツを組み合わせて小さなコンピュータを構成し、オープンソースなソフトウエアを載せて、ネットワークにつなぐことで有用なことをさせる。そして、それに必要なソフトとハードはコミュティー主導で作られていくという流れ。

Makeで紹介されていたBug Labsというオープンソースハードウエアを手がけている会社のサイトを読んでいたら、こんな自己紹介が書かれてました。

「Bug Labsは新種のテクノロジー企業です。Bug Labsによってエンジニアはハンダづけの仕方や半導体技術について学んだり、あるいは中国に行ったりしなくても様々なデバイスを開発できるようになります。
Bug LabsにおいてCEとはコミュニティ・エレクトロニクスのことです。マッシュアップの概念をWebサービスと同じようにハードウエアにも適用します。起業家たちはデバイス分野のロングテールを通じてたくさんのマーケットにアピールできます。」

なるほど。バズワード臭もしますが、狙いは面白そうだし共感できる部分があります。この人たちが言うところのコミュニティ・エレクトロニクスという言葉について、つらつら考えてます。

Bug Labsが年内に出すコンピュータの中身はchumby同様、ARM+Linuxです(今月号のソフトウエアデザイン誌で特集されていたarmadilloもそうですな)。ARMプロセッサとLinux OSの組み合わせで安くてオープンなプラットフォームを用意するところからコミュニティ・エレクトロニクスは始まるようです。そのプラットフォーム自体は汎用品の寄せ集めなのであまり付加価値はありません。エンドユーザー的には値段と筐体のデザインくらいしか違いは見あたらないハズ(chumbyを見ると、そこも重要とは思います)。

デバイスそのもので差別化できないとしたら、どこでビジネスを構築するのか。ひとつは、プラットフォームで囲い込んだ上でソフトウエアビジネスをやる方法でしょうな。つまり任天堂スタイル。でも、今からポッと出の企業がそれをやって成功するのは難しいし、インターネットが生みだした状況をフル活用するアイデアにはなってませんな。

そこで出てくるキーワードがコミュニティ、という理解です。開発者とユーザーからなるコミュニティのなかで需要と供給が出会い、周辺デバイスやアプリケーションソフトやコンテンツが流通する状況を作り出す。それはハードウエアとソフトウエアが知的所有権によってがんじがらめになっていたら成立しない話で、ARMプロセッサをはじめとするコモディティー化された電子パーツとGPL下のソフトウエア群の普及によって想定可能となった世界です。

……えーと、まとまらないと思うのでここでいったん切りますが、自分としてはそういう世界が朧気ながら見えてきたことで、ひさびさにコンピュータ関係でワクワク感を得られそうだなあ、みたいな感じなんですね。まだ、見えない部分が多いですけどね。不発かもしれないし。でも、ここ数ヶ月間、延々やってる電子工作とつながってくるものがあって、やっぱりこの方向になにかありそうだよなあ、みたいに思ったりもしてるわけです。ハズしてるかもしれないけどね。頭の中でもうちょっとまとまったら、また書きます。

ウォータークリア

HT7750電源を作った。乾電池1本から5Vを生成可能。3.3V版も製作中。コンパクトで便利。電源はすべての電気製品の出発点。重要です。
この電源をつかって、フルカラーLEDを実験中。ワタクシもトレンド(?)に乗っていきたい。オー氏から「美顔用LEDライトで大儲けですよ!」との情報提供があったのも理由のひとつ。

RGB今いじっているのは、OSTA71A1D-Aという角形タイプ。安くてキレイ。いわゆるウォータークリア型のボディーで、内部がクッキリ好きとおって見える。電流を少しだけ流すと、RGB3色の小さな宝石のような光源がひそんでいるのがよくわかる(写真参照)。乳白色ボディーの、マイルドに色が混ざってみえる感じも好きなんですが、キラメキの美しさではウォータークリア型に軍配があがりますな。