2014/11/21

日本の腕時計メーカー

category ウオッチ by 船田戦闘機

昨日取り上げた本の話の続きです。233ページに、時計製造グループの世界シェアランキング(2012年版)があって、1位はスウォッチグループ、2位はカルティエ擁するリシュモン、3位がロレックスとなってます。このスイス勢3グループだけで市場シェアは45.8%。ほぼ半分。それに対して、我らがシチズン、セイコーはどうかというと、それぞれ6位と7位で、シェアは合計して7.3%。だいぶ差がありますな。

シチズンとセイコーはこの事態にどう対応しているのでしょうか。ここからはつらつら思ったことを書きますよ。まず、両社ともエレクトロニクスや精密機械の分野で事業の多角化ができているので、スイス勢のように全生命が時計の売れ行きにかかっているという状況ではないと思います。だから、じっくり対処しているのかもしれません。そして、なぜ時計を作るのか、という根本的な意味を整理している過程なんじゃないですかね。

セイコーのクレドールを見ると人の手から生まれる「技」へのこだわりが見て取れます。技術は十分だから、少し立ち返って技を見直してるって感じでしょうか。シチズンはもう少しアート寄りかな。カンパノラシリーズからは時計をメディアとするメディアアート的な香りがします。今ちょうど、シチズンがミラノサローネで展示したインスタレーションが青山で凱旋展示されてますけど、それを見て、技術的な価値を非技術的に伝えようとする取り組みと捉えました。

スイスブランドがよくやるような、過去のデザインアーカイブを再利用して、そこにレジェンドを付け加えるマーケティング手法ではなく、正面からアイデンティティーを作りにいってる印象。両社とも60年代以前のデザインを再利用する手法はもっとやっていいんじゃないかとも思うんですが、その方向ではスイス勢には勝てない気がするので、正攻法がいいんでしょうね。あ、セイコーのジウジアーロ復刻モデルは欲しいです。このくらいの再利用が適切なのかも。

両社ともスイスブランドの手法や資源を無視してるわけじゃないと思います。シチズンはLa Joux-Perretを買収して、スイス流の機械式ムーブメントを利用できる体制を作りました。セイコーはニューヨーク・マディソン街に旗艦店を作ったり、ブランドアンバサダーにジョコビッチを起用したりと(最近対戦相手として注目される錦織選手がタグホイヤーというのは少し皮肉だけど)、スイスブランドの常套的マーケティング手法も使ってますね。取り入れられるところは取り入れて、従来のビジネスとマージを図ってるってことかな。

さて、スイス勢圧勝の情勢下で日本勢はじっくりブランド再構築を図っている過程、という状況分析がOKとすると、この先潮目が変わる日は来るのでしょうか? という問いかけに脳内問答は進んでいくわけです。ここで本当なら「スマートウオッチで大きく変わります!」と言いたいところなんですけど、そこまでスパッとは言い切れないというか「見えたぞ!」って感じはないです。

なんだかんだで、Apple Watchは短期間のうちにiPhone6ユーザーの15%くらいが持つようになるんじゃないかと思ってます。そうすると1000万台は超えますよね? Android Wearも同程度までいくんじゃないかな。根拠のない予想ですけど、そんな気がします。あ、今日、SONY SmartWatch3を注文しました。Zenfoneを買ったときにZenwatchも一緒に注文しようかと考えたんですけど、SW3のほうが良いと判断しました。その理由は……この話題はまた今度にしましょうね。話を戻すと、Apple WatchとAndroid Wearが2000万台くらい市場に出ると、そこに新しいマーケットが生じると思います。ただ、それが既存の時計マーケットとどう関係するかは想像しにくいですな。腕時計の生産数って日本だけでも年間6000万個、中国は月に1000万個作ってるらしいです。スイスは高単価路線だから個数は少ないけど、それでも年間3000万個くらい。つまりスマートウオッチとは桁が違う。今まで時計を作ったり売ったりしてた人たちからするとスマートウオッチは小さい世界。カシオの人がApple Watchについて言及してるインタビューがあって、やはりスマートウオッチと腕時計のマーケットは当面混じり合わないという読みでした。発売までにAppleが「なにかすごいものを用意してくるかもしれないから分からないけど」と不安げな(?)様子も見られたりしますが……。

例によって結論には到達せずつらつら書いてますけども、すごく長くなっちゃったので、今日はこのあたりでおしまいにします。そういや、日本勢としてシチズンとセイコーにしか触れませんでしたね。カシオもシェア2.1%の9位で大事なプレイヤーです。ワタクシだって、機械式がないからとカシオの時計を無視してるわけじゃありません。G-Shock、G-Shock mini、Babe Gと3系統を使いくらべたりしてます。そして究極の腕時計はカシオの1000円デジタルだと思ってます。ある意味、カシオ計算機という会社が腕時計の世界の終末を作りだし、その結果、カシオを含む全員が存在価値の再構築を余儀なくされたと見ることもできますよね。いや、言い過ぎかも。ぐふふ。続きはまたこんど。

2014/11/20

非技術的イノベーション

category ウオッチ by 船田戦闘機

「機械式時計」という名のラグジュアリー戦略』という本を読みました。知りたいと思っていたことが、驚くほどたくさん書かれていた。オメガを筆頭とするスウォッチグループが90年代から現在にかけて「ライバルの日本企業が頑固に技術革新競争を続ける一方、技術分野における根本的なイノベーションを導入することなく、世界有数の時計製造グループとしての地位を確立した」過程が細かく説明されています。

著者はラ・ショード・フォン(時計産業の都市として世界遺産)の出身。ただし、いまは京都大学で経済史を研究しているらしい。古い時計をいっぱい持っているのだろうか……、実家が時計工房だったり……とか、読後もいろいろ想像しちゃってます。

「機械式時計」という名のラグジュアリー戦略

2014/11/13

丸い窓

category 雑談 by 船田戦闘機

PB110278

スマホには何も貼らないし被せない流派だったのですが、Zenfone5には純正ケース『ビュー・フリップ・カバー』を装着しました。テーブルに置いてもグラグラしにくくなった。カバーを開くだけでホームが現れます(ASUSロゴのあたりにマグネットが入ってるみたい)。丸い窓には時計や天気予報、懐中電灯のスイッチが表示されます。気に入ってます。

2014/11/11

日本のロボッツ

category 雑談 by 船田戦闘機

WORLD ORDERさん、アキハバラの次はロンドンでロボットウォーキング。楽しく美しいミュージックビデオです。

2014/11/10

時計の測定器

category ウオッチ by 船田戦闘機

これまで、時計を調整するときは”Wild Spectra“というAndroidアプリを使ってました。99円なのによくできていて、機械式時計の日差(1日に何秒の誤差か)を測るのが目的なら十分な機能を持っています。スマホ用イヤホンについてるマイクを時計に当て、ボタンを押して15秒ほど待つだけで測定完了。チクタク音の小さい時計の場合はバンドパスフィルタの設定が必要で、そこはちょっとわかりにくいのですが、少し試行錯誤すればイケると思います。

ただし、Wild Spectraが測っているのはチクタク音の間隔だけなので、日差以上の情報は得られません。一方、プロが使う測定器はセンサで拾ったパルス性の振動(刻音)を解析して、テンプ(らせん形のバネと円形の錘からなる振り子=機械式時計の心臓部)の運動状態を数値とグラフで表示してくれます。たとえば、テンプの振れかたが左右どちらかに偏っていたり、振れ角が小さかったり、といったことが分かっちゃう。この情報がより精密な調整をするときのヒントになるわけですな。

ワタクシは精度を追求するつもりじゃなかったので、専用測定器は買わなかったんです。Wild Spectraで満足してました。でも、レストア用時計の連続購入を200本到達を機にやめたら、新しい時計に触れなくなった反動か、これまでに直した(つもりだった)時計をもういちど点検調整してみたくなったんです。で、買いました。中国製廉価版測定器。

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マルチファンクション タイムグラファーNo.1000』という製品。Amazonで29,800円。ほんとになんでも売ってますな。青いグラフィック液晶が電子工作感を醸し出す一品。

本物のプロ用は一桁高価です。でも、いまはどんな分野でも中国製の廉価バージョンがあって、オシロスコープもそうだけど、値段相応の期待値で使えば役に立つことが多い。今回買ったタイムグラファーも、今まで気づかなかった時計内部の状態を明らかにしてくれました。一見正確なのにテンプの振りが不安定な時計が次々に見つかって、ちょっとショックだったり。でも、どういう不具合か分かるので、再調整のプランも立てやすくなったんじゃないかな。

今後しばらくは、時計を増やすのではなく、すでにあるものをより良くしていく方向で資源を使いたいと思います。あ、今後出揃うスマートウオッチは買うと思います。その準備としてスマホをASUS Zenfone5に更新しました。まだまだ物入りですな。

マルチファンクション タイムグラファー Machine Multifunction Timegrapher No. 1000

船田戦闘機日誌 (C)2007-2014 by Takumi Funada