1個じゃ分からない

4ks「同じ時計を何個も買うのやめれ!!>俺」と思うのですが、買っちゃうんですよね。1970年頃のキングセイコー(いわゆる56KS)を4個ほど連続落札。1個目のクオリティーが予想より低かったことから、共食い整備用に続けて買うハメになっちゃったんです。でも、微妙な違いが分かって面白かった。複数を見比べてはじめて分かることもありますよね。いまはWalthamの大正時代の懐中時計が届くのを待ってます。1個目の動きに疑問があって……。

ライブコンポジット

齋藤さんが記事に書いていた、オリンパスOM-D E-M10のライブコンポジット機能を使って光を塗るようにブツ撮りするワザをワタクシも試してみました。これが初日の最後の写真。光源として冷陰極管を使ったところ色が偏り、振り方が悪くて風防に線状の光が映り込んでしまいました。もう少し研究と練習が必要。でも、すごーく面白い。画期的な機能ですな。

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被写体の時計はジャガールクルトの”Futurematic“。先日触れたギブスンの小説(翻訳版)のタイトルはこれから取られたものです。1953年に発売された「世界初の100%オートマティック」。100%が何を意味しているのかがよくわからないのですが、たぶん手巻きを一切必要としない自動巻き機構だけで動く時計という意味だと思います。左の針はゼンマイのパワー残量を示していて、振ると少しずつ増えていくのが分かります。

ワタクシが入手した個体は相場より少し安いかわりに、キズや劣化が何カ所かあって普段使いには適しません。防水性はまったくないと思われます。精度は良好。おもに家のなかで着用してます。

時計の本

購入したジャンク時計の数が9月末で180個になりました。180日間、1日1個ペースを維持したことになります。もうほんとにこれで打ち止め。レストア目的で時計を仕入れることはいったんやめて、今後の身の振り方を考えよう。180個の時計がどうなったかについては追々まとめたいのですが、量が量なのでちょっと大変……。

ジュンク堂に寄ることができたので、時計の本を何冊か買いました。

1. 小牧昭一郎著 機械式時計講座
2. ワールドフォトプレス 広告の中の腕時計
3. シーズファクトリー 初めてのアンティーク時計

1はセイコーの開発者だった人による専門的な本で、機械式時計の精度に関する理論と実践が詳しく書かれています。20%くらいしか理解できない気がするけど、どうしても読んでみたくて買っちゃいました。9000円の本なんて久しぶりに買ったかも。
2は19世紀末から1970年頃までの時計の広告をまとめた本。デザインと技術とマーケットの変遷がよく分かる。興味深いビジュアルがいっぱい。3048円。
3はムックで、女性向けアンティーク時計の入門書。シェルマンの商品が中心になってるみたい。現物は新宿や銀座の店舗で見ることができますな。「あ、これ見たことある」っていうのもいくつか出てくる。写真の撮り方が参考になったり。

しばらくは時計の本を読みながら、これから自分はどうしたいのかを考えようと思ってます。

機械式時計講座 広告の中の腕時計―腕の上のデザイン (ワールド・ムック 817) 初めてのアンティーク時計(CARTOPMOOK) (CARTOP MOOK)

レディースウオッチ

IMG_20140919_161848古い腕時計をたくさん買っているのは己を着飾るためではありません。その証拠に、自分では使えないレディースもどんどん買ってる。昨日動くようになったのは、1976年製造の金をふんだんに使った婦人用クオーツ。古い電池が液漏れしていたのでダメかと思ったのですが、清掃して新しい電池に替えたらちゃんと動いた。外装も石けんとハブラシと超音波洗浄機とプロクソンを駆使してキレイにしました。ほぼピカピカ。

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電池も金メッキが施されたマクセルのSR41に換装。ムーブメントからレトロな味わいが伝わってきますね。導体パターンによる文字や手ハンダの跡に見とれちゃう。セイコーが世界初のクオーツ式ドレスウオッチを発売したのは1974年。この時計はその2年後ですから、まだ初期の小型ムーブメントと言えるでしょう。

2009年の腕時計専門誌『クロノス』に広田雅将さんがクオーツ時計開発史を書いてます。いい連載。バックナンバーを買って興味深く読みました。1969年にセイコーは世界初のクオーツ腕時計を発表したのですが、その時点で世界をリードしていたわけではないようです。スイスもほぼ同時に実用化していたし、技術的にはアメリカの半導体メーカーが進んでいた。「スイスは凄い」、「アメリカは凄い」と唸った当時の日本の技術者たちの回想が記されています。国際的な競争のなかで、日本の時計産業は自分たちの市場を開拓していったんですね。クオーツでドレスウオッチを作る、という課題設定もそうした戦略の一部だったのだろうと想像します。

古い時計をいじりながら当時の様子をあれこれ想像するのが楽しいんですね。そういう意味で、この金ピカのレディース時計は楽しくレストアしました。でも、自分では使えない。誰かにプレゼントしましょうかね。

賛否両論

いつの間にやらAppleサイトにWatchというカテゴリーができていて感慨深い。鬼が笑いますけどね。

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スウォッチ・グループの総裁は「うちはスマートウオッチに関わらない」という趣旨の発言をしたようです。
Swatch Group Head Nicolas Hayek Jr. Is Putting Smartwatches In The “No Fly Zone”
失敗経験が慎重にさせている模様。一方でタグホイヤーはやりたいみたい。所属するLVMHグループも興味アリなんじゃないかな。ルイヴィトン版Apple Pay端末とか……。
Luxury Brand Tag Heuer Wants to Make a Smartwatch

Apple Watchが他社にライセンスされるのであれば、ぜひやりたいというファッション系の企業は多いような気がします。でも、アップルはそれをしなかった会社ですよね。今後もそうだとすると選択肢はAndroid Wearになっちゃう。そうすると途端に方向性が見えなくなってくるような気がする。

我が国のセイコー、シチズン、カシオはこの状況をどう捉えているのかしらん。手の出しようを思案中なんでしょうか。

希にゴミ

fivebug

昨日の写真はヨドバシカメラで買った新品を撮ったものです。左の時計の6時のインデックスに小さなゴミがあるのに気づきましたか? ぼくは買ってから数日して気づきました。それをUSB顕微鏡で撮ったのがこの写真。製造過程でなにか樹脂のようなものが付着し固まったもよう。

新品を自分で開けることに抵抗はあったのですが、思い切って開腹し、ピンセットで取り除きました。すごくスッキリしたのを覚えてます。それ以来、新品であっても買った日に開けて文字盤やムーブメントをチェックすることにしました。凄く緊張するけど、その緊張が面白い。もちろんオススメはしません。防水性が損なわれるかもしれませんし、ゴミが見つかるよりゴミを入れちゃう可能性のほうが高いです。修行の一環としてやっている感じです。