レディースウオッチ

IMG_20140919_161848古い腕時計をたくさん買っているのは己を着飾るためではありません。その証拠に、自分では使えないレディースもどんどん買ってる。昨日動くようになったのは、1976年製造の金をふんだんに使った婦人用クオーツ。古い電池が液漏れしていたのでダメかと思ったのですが、清掃して新しい電池に替えたらちゃんと動いた。外装も石けんとハブラシと超音波洗浄機とプロクソンを駆使してキレイにしました。ほぼピカピカ。

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電池も金メッキが施されたマクセルのSR41に換装。ムーブメントからレトロな味わいが伝わってきますね。導体パターンによる文字や手ハンダの跡に見とれちゃう。セイコーが世界初のクオーツ式ドレスウオッチを発売したのは1974年。この時計はその2年後ですから、まだ初期の小型ムーブメントと言えるでしょう。

2009年の腕時計専門誌『クロノス』に広田雅将さんがクオーツ時計開発史を書いてます。いい連載。バックナンバーを買って興味深く読みました。1969年にセイコーは世界初のクオーツ腕時計を発表したのですが、その時点で世界をリードしていたわけではないようです。スイスもほぼ同時に実用化していたし、技術的にはアメリカの半導体メーカーが進んでいた。「スイスは凄い」、「アメリカは凄い」と唸った当時の日本の技術者たちの回想が記されています。国際的な競争のなかで、日本の時計産業は自分たちの市場を開拓していったんですね。クオーツでドレスウオッチを作る、という課題設定もそうした戦略の一部だったのだろうと想像します。

古い時計をいじりながら当時の様子をあれこれ想像するのが楽しいんですね。そういう意味で、この金ピカのレディース時計は楽しくレストアしました。でも、自分では使えない。誰かにプレゼントしましょうかね。