久しぶりにWatch Repair Channelから新しい動画が公開されました。今回はセイコー7S26のオーバーホール。動画の中で「セイコーのワークホース」と説明しているとおり、セイコーのもっともポピュラーな自動巻きムーブメントですな。弊社も何個か持っている。スイス時計を扱うことが多いWRCで、日本のムーブメントを詳細に扱うのは初めてかも。パート1では分解まで。パート2から注油と組立。たぶん、今夜公開されます。楽しみだー。
カテゴリー: ウオッチ
スマートウオッチは制服
Apple Watchの困る点として「お気に入りの腕時計を着ける機会がなくなる」をあげる人がいますね。Zenfone5が壊れたせいで、テスト用に持っていたiPhone6をメイン端末にしたんです。そうしたら、Apple Watchがちゃんと機能するようになって、ひととおり体験し納得するまで着けていようって気になったんです。そのかわりレストアしていい感じになった時計を着用することができなくて残念な感じだったりします。
作業中にコンピュータへアクセスするためのUIとしてのスマートウオッチはやはり有用だと思います。きのうは屋上で壊れた大気センサの配線を直していたんですが、急に空が暗くなったので雨が心配になり天気予報をチェックしました。手首を振って空いてる小指で2、3度スワイプ(Siriとはまだ仲良くなれていません。”Ok google”のほうが慣れてる)。工具と電線を持ったまま操作できた。パスタを茹でるときも便利ですな。そんな感じで、両手がふさがる系の作業(工事とか料理とか運転とか看護とか戦闘とか)をする人の端末として、スマートウオッチは一定の浸透を果たせると感じてます。
そういう場合のスマートウオッチは仕事着あるいは制服の一部ですな。腕時計のなかにはダイバーズやパイロットウオッチのように、もとは特定の職業向けにデザインされたものが一般に広がった例がいくつもありますけど、スマートウオッチもそういう経過を辿るのでは? そうだとするとラグジュアリー戦略は時期尚早ということになる? ま、複数の戦略があっていいんですけどね。
写真は、一番好きなキングセイコー。涼しくなったのにぜんぜん使ってません。ときどき鹿の皮で磨くだけ。
シチズンスーパーデラックス
キレイにできたから写真あげちゃおうっと。シチズン、スーパーデラックス。「1機種で当時100万個を達成する等、シチズンを代表する製品の一つです」(シチズンディスカバリーより)ということなので、ビンテージ市場でもありふれているように思えますが、程度の良いものはなかなか見つかりません。これは良いです。清掃・注油したら動きも良くなった。ロゴが立体的で手間がかかってる感じ。昭和30年代です。
ロンジン
独立時計師・浅岡肇
届いたその日に『ジャパン・メイド トゥールビヨン』読了。いま日本で一番すごいメイカーは誰かと聞かれたら、この本の主役、浅岡肇さんではないでしょうか、と答えます。
浅岡さんが時計作りに取り組み始めたのは2004年。”Watchmaking” という本を参考にしたほかは全部独学らしい。グラフィックデザインの仕事をやめて時計一本に絞ったのはリーマンショック後という話もどこかで読んだ。本の最後には「意匠デザイン、機構設計、機械加工、仕上げ、塗装、組み立て、どれを1つとってもすぐに究められるようなものではない。どのようにしてここまでのレベルに達したのか、いまだに謎である」と著者のひとりが書いている。
twitterやfacebookの書き込みを見ていると、好きなことを理想に至るまで追求し続ける人なんだろうな、ということはわかります。でも、ただ闇雲に追求しても、なかなか成果は出ませんよね。完成させる能力も必要。そこも凄いところが凄い。
やっぱ凄いな……と何度もつぶやきながら読んだ1冊でした。