万年筆

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時計以外の古い物も直してみたい、と思ったので、BCLラジオに手を出したのですが、ひとつ大きな問題があることに気づきました。場所を食うのです。ICF-5800のように比較的コンパクトな機種でも、かなりの空間を占めます。何個も備蓄するのは難しい感じ。

そこで、試してみることにしたのが万年筆。手始めに、机の奥底にしまってあった古いパイロットをクリーニングしました。お湯につけたくらいではダメで、ニブをはずしてガビガビになったインク(?)を取り除いたり、超音波洗浄機に長時間かけたりしたら機能を取り戻しました。ペン先調整の仕方がまだよくわからないけど、とりあえず字が書けるようになりました。面白い。

中学生の頃にもらったシチズンの自動巻きをキレイにしたいと思ったのが時計レストアにハマったきっかけ……という話はもう書きましたよね。今回のパイロット万年筆も同時期にもらったものです。少し手をかければキレイになるんだから、どちらも良い物だったんでしょうな。

パパッと経験値を稼ぐため、その後ヤフオクで3本、落札しました。モンブラン2本、セーラー1本。どれもすぐインクは出るようになったものの、書き味はしっくりきません。こんなもの? それとも調整の余地あり? 状態の良い万年筆の書き味を知らないので判断できない。腕時計も万年筆も、日常的に使う習慣はなかったのです。直してみたいから使いだすなんて、本末転倒ですな。

レストアの基準が必要と考え、昨晩、新品の万年筆を注文しました。セーラーの『プロフィットスタンダード21中細』という製品。それが今日届いた。Amazonでの高い評価だけを当てに買ったのですが、これが凄かった。良い万年筆ってこんなに書きやすいんですね。スムーズに字を書く様子を形容するときに「さらさら」という言葉を使いますけど、まさにさらさらです。さらっさら。

上の写真はそのセーラーのニブ。美しい。材質は21金。だから柔らかいのかな。よくわかっていないながらも、良い万年筆の一例に触れることができたと思ってます。

セーラー万年筆 万年筆 プロフィットスタンダード21 中細 11-1521-320 ブラック

充電方式

smarts

いつの間にか似たような機械が集まってしまった……ということが皆さんにもあると思います。困りますね。

持っているスマートウオッチを並べてみたら、あることを再認識しました。やっぱり充電の面倒な機械は使わなくなりますな。上の写真で1個だけ電源が入ってないのがありますけど、それは裏面のゴムキャップを外してマイクロUSBケーブルを挿してやらないと充電できないSONY Smartwatch3です。もう随分長いあいだ電源を入れていない。面倒すぎ。他の時計はクレイドルかマグネットタイプの充電端子なので、すぐセットできます。

マグネット端子のPebble Time、クレイドルのMoto 360、マグネットの台になってるApple Watchの3つを比較すると、どれも一長一短ありますね。クレイドルが一番扱いやすく、マグネット端子のPebbleが一番邪魔にならないと思います(電池が持つので、そもそもあまり充電しなくて良いという話も)。Apple Watchは両者の中間かな。

Smartwatch3の充電が面倒すぎ、と言いましたが、汎用のUSBケーブルだけで充電できるのは、旅先や緊急時にはメリットかも。そのための機械として捉えると存在意義が見出せるかも。もういちどセットアップしようかな。でもその前に充電しないと……。

冷房と読書

ヒトラーとナチ・ドイツ (講談社現代新書)石田勇治著『ヒトラーとナチ・ドイツ』読了。重いテーマながら読みやすく流れがよくわかる本だった。新しい知見も盛り込まれていて、自分の知識が更新される感じがしました。

Kindle読み放題が始まるという噂がありますな。小学館や講談社の5〜6万冊が月980円とか。そのくらいの部数で、もし古い本が主体だとしたら、自分が読みたいものはそんなに多くない予感。無料だと思うと、軽く斜め読みしてすぐ消しちゃうものも増えそう。でも、読書の仕方が変わるでしょうな。冷房の効いた場所は全部図書館になり得るわけですな。

名画化アプリPrisma

prismaICF

どんな写真も名画風に変換してしまうフィルターアプリPrismaが楽しくて、何度も繰り返し試してました。人物や風景の写真を変換すると面白いみたいだけど、我がiPadに溜まっているのは機械の写真ばかりなので、それを変換してました。上の写真は最近レストアしたICF-5800をCompositionというフィルターで変換したもの。好きだわ、こういうの。

時計以外のレストアもやってみたくなったので、電源が入らないというBCLラジオを落札していじってみたんです。そしたら、電源ボックスの端子を掃除するだけでいい音が出るようになっちゃった。他には、ケースを拭いて、ツマミ類を超音波洗浄機にかけただけ。当初は電解コンデンサを交換したり同調機構を清掃しようかと思っていたんですが、内部を見たらやる気が失せました。すごい手作り感。余計なことをすると壊しそう。明らかな不調が発生するまではこのまま使うことにしました。

ICFpcb

好きな時計の傾向

gruen

自分が魅力を感じる時計の傾向がようやく見えてきた昨今です。方向は2つ。

ひとつは「古き良きアメリカ」。Hamilton、Waltham、Gruenといった、アメリカで興ったメーカーの時計に強く惹かれます。19世紀末から20世紀前半のアメリカで作られた精密機械をいじっていると、これが近代か、という感覚が湧いてきます。

もうひとつは、機械式時計が完成形に到達した1960年代に活躍し、その後の産業構造の変化や電子化によって衰退消滅したメーカーが残した時計に惹かれます。たとえば、Universal Geneveが好き。技術力とデザイン力が伝わってきます。でも、それだけでは会社が生き残ることはできなかったんですね。なぜでしょう? 分解しながらそういうことを考えていると、時間がどんどん過ぎていきます。

2つの方向と言いましたが、多くの場合、特にUSブランドについては、上記の2つは連続してますな。

Hamiltonのように、買収によって現在もブランドが残存している例があります。売買収が盛んに行われてきた業界のようで、一度は消えた名前が復活することも普通みたい。IWCのビンテージを「オールド・インター」と呼ぶように、新旧の体制を区別しながらも共存させている市場ですね。時計雑誌をめくっていてよく見かけるのは「復刻」。オマージュとかヘリテージといったキーワードがよく出てくる。きっとそれは良いデザインの見本なのでしょうが、ワタクシ的にはピンとこないです。もともと時計に興味がなかったからかな。復刻モデルを買うくらいならスマートウオッチのほうが面白いと思っちゃう。

100年前のものであれ、今のものであれ、その時代の技術と人々の欲求を反映して現れたかたちを知りたいです。

上の写真の時計は、1200円で落札し、ざっとレストアしたGruen。ケースとムーブメントの刻印から1950年にシンシナティで作られたことが推測できます。腕にフィットする大きく湾曲したケース、きらびやかなフェイス、小さいのに高精度なムーブメントといった特徴が支持されて、1930年代から40年代にかけて一世を風靡したメンズウオッチですな。キズは多いものの、10K金張りのケースは当時の勢いを感じさせます。ただし、50年製造のこの時計は同社のピークが過ぎた後の製品かもしれません。Wikipediaによると、53年に創業家は同社を売却し、58年には工場も解体売却されてしまいました。

アメリカの時計産業が第2次世界大戦を境に衰退した理由は産業史の題材のひとつとして論じられています。ワタクシが理解した範囲では、大戦中に各社が軍事生産にシフトした影響で戦後の需要にうまく対応できず、やはり軍需を失ったスイス勢の流入によって市場を失い、多くが欧州資本に買収されていったという流れのようです。現在はSwatchグループの一部であるHamiltonが代表例ですな。

他の機械産業と同様に、各国の時計メーカーは大戦の影響を強く受けています。それゆえ、大戦期の製品はとても興味深いんです。現物を入手して触ってみたいという気持ちを抑えるのが大変。アメリカって国はその頃の機械がいいコンディションで売買されてたりするんですよね。先日はebayでHamiltonのコクピットクロックを発見しました。F4Uコルセアに搭載された37500という機種です(そのレストア記事)。買おうと思えば買える価格だったのに、競り合いのタイミングが合わず逃してしまいました。ちょっと後悔。

あれれ、今日は普段より少し長く書いてる。冷房の効いている部屋で時計のことを考えていると平和です。でも続きはまたこんど。

※追記
近頃自覚した興味の方向について書きましたが、古い腕時計を直してみたいという初期衝動のままにいじっているのは、今でもセイコーとシチズンが主です。気に入って使っている時計は、スマートウオッチを除くと、両社の60〜70年代製品が中心です。イタリアンやフレンチのお店に行くのが好きだけど、普段はやっぱりご飯と味噌汁、というような話ですかね。ちょっと違うか……。

ジャージ最高

Esma Redžepova & Folk Mastersはバルカン半島中央部(マケドニア)から来たジプシー音楽のバンド、という理解でいいかしら。ワタクシはドラマーのおじさんのファッションに衝撃をうけました。アディダスのジャージ上下を着てスティックのお尻を持ってリズムを叩きだしてる。かっこいい! しびれるわ!