オレとゴールド

昔の自分は、金色が嫌いでした。お店でかっこいいカバンを見つけても、金具が金色だったら絶対買わなかった。金が良いと思っていたのは、ケーブルのプラグ部の金メッキだけです。でも、近年、認識が変わってきたんですよね。金メッキや金張りや金無垢のものが心地良いと思えるようになってきた。どうしてなんでしょう。理由は自分でもよくわかりませんが、「目に優しい」、「肌触りがしっくりくる」、「新鮮」といった印象。最後の「新鮮」は、好みが変化したことからくる新鮮さでしょうな。アップルがゴールドをカラーバリエーションに含めるようになった影響もあったりして。

古い筆記具や時計を漁るときも、金製品歓迎です。とくに金張り(Gold Filled)のものにお得感がありますな。たとえば、1970年代のCrossのペンが数十ドルで売られていたりする。しっとりした金の感触と実用性が両立していて楽しいです。金無垢なら、懐中時計(ケース)や万年筆(ペン先)が親しみやすいかも。ペンも軸まで金無垢だったりすると、それなりのお値段がします。銀無垢ならだいぶ安いです。銀は磨きがいがあって好き。持った時の感触は金よりも好きだな。

メッキ(Gold Plated)の製品は質の判断が難しい。60年代頃の時計や筆記具には、金メッキのぶ厚さを訴求しているものがあって、たとえば「80MICRON」と刻印があったりします。そういうのは、なかなか立派です。でも、メッキは厚くてもその下の金属(時計の場合は真鍮が多い)が痛んでいて、肌が触れる部分がボロボロだったりすることがあり、それでは使う気にならないですな。メッキのハゲも、写真だけじゃわからないことが多い。磨けば真鍮も光るので見分けにくいです。古いメッキ製品は、使用感の少ないものじゃないと、怖いです。

写真はシェーファーの万年筆とキングセイコー。まだレストア中。状態が良いので清掃だけでイケそう。製造年はたぶんどちらも70年代。素材は、シェーファーのペン先が14K、軸はGP、時計はまだよくわからなくて、たぶん金張りです。ふつう裏蓋に書いてあるんですが(セイコーならCAP GOLDとあれば金張り)、この個体はそれが書いてあるはずのところに「贈 東京電力株式会社」とあってわからない(勤続記念の贈り物ですかね)。今のところ小傷の様子から金張りと判断してますけど、分厚い金メッキなのかも。修練が足りなくて鑑定できません。だからなおさらワクワクするんですけどね。