チッ、チッ、チッ……。自転車に乗っていて、こういう音が聞こえだしたらもう他のことは考えられません。原因を突き止め、音を消すことで頭がいっぱいになります。でも、簡単には解決できないことがままある。そういうときは本当にイライラしますな。いっそこのまま電柱に突っ込んでやろうか、と思うくらい。
今日のチッチッチ音にも手こずった。クランクを一回転させると一回チッとなるタイプ。この場合原因として考えられるのは、「靴紐がフレームに当たっている」、「ペダルの異常」、「ギア盤の取り付けナットのゆるみ」、「クランクの勘合部のゆるみ」、「ボトムブラケットのゆるみ」といったところでしょうか。
まず、靴紐をチェック。今日はベルクロ式の靴だった。となると、どこがいけない? 走りながら足下を見たり耳を澄ませたりしてもわからない。ワタクシの経験では、感覚を頼りにいつまでも原因を探すより、復旧作業を始めてしまったほうが解決は早いです。
まずボトムブラケット(BB)をグリスアップすることに。ワタクシの経験では、結局BBだった、ということが多いのです。BBをグリスアップするということは、クランクもいったんはずして締め直すことになるので、2つの原因候補に対処することになります。専用工具を使ってBBをはずしてみると、グリスはまだ残っていて、さほど汚れてもいない。でも、見た目じゃわからないので、丁寧にグリスを塗り直して、しっかり締めこみます。
さっそく試乗。しかし、チッ、チッ、チッ。次はギア盤をチェック。ネジを増し締めしてみると、スルッと回った。さてはこれが原因か、とトルクをかけたら、プラスチック製のバッシュガードが割れました。ヒエーっ。でも、簡単に割れるくらいだから、これが音の原因だったのかもしれない、と、バッシュガードを捨て、フロントシングル用のピン(1本200円以上する)を出してきて、クランクのアームに固定。
再試乗。だがまた、チッチッチッ。となると、あとはペダルですか。右のペダルをレンチで回すと、ほとんど力を入れずにクルッと回ってしまった。どうみてもトルク不足。これが原因? ハズしたペダルの軸を指で回すとゴリゴリとひどい感触だったので、ベアリングがイッてるという可能性も考え、備蓄のペダルに換装。新しいのはSPDペダル(ビンディング式のペダル)なので、SPDシューズ(SPDペダルにはめ込む専用金具がついた靴)を準備。
そしてまた試乗。3度目の正直。直った。なんだペダルだったのかよ! と思った。実は、走りながら音を聞いたとき、「足に近い……、ペダルかな?」と何度か思ったですよ。でもね、そういう直感めいた情報はあまりアテにならないのがこれまでのワタクシの経験だったですよ。しかし、今回はその直感に従うべきだった。経験から学ぶというのは難しいことです。
まあ、でも、BBのグリスアップはいつか必要だったわけだし、バッシュガードのクラッシュは予防(?)できたし、なめらかに回るSPDペダルになったし、これで良かったんだよ>オレ、と思うことにした。さらに、なかばやけくそ気味に、スプロケットのロックナットの締め直し、クリート(SPDシューズの金具)の位置調整、やや渋くなっていたヘッドの当たり調整なども行った。半日仕事になってしまった。でもスッキリした。最後の試乗の後のビールがうまかったので、じゅうじつした一日だったと思うことにした。