iPadより大事なこと

グッドデザインエキスポで『After The Books 2010』というタイトルのトークセッションを拝聴しました。iPad時代の電子書籍に関する複数の識者による議論。印象に残ったお話はいくつかありますが、ひとつだけあげるとしたら、Craig Modさんの「本ができるまでの活動全体を考え直すべき」という問いかけが大事だったかも。

電子書籍を議論するときはUIやフォーマットの話が多くなりがち。でも、そうしたアウトプットに近い部分は本作り全体から見ればごく一部(下の図では地上の木と地中の根=ネットワークとの対比になってます)。商品形態が紙であれデジタルであれ、そこに至る本作りのプロセス全体を再考することが重要で、UIやフォーマット以外の部分に対しても新たな技術やサービスを適用する余地はおおいにあるのではないか、という論旨。具体例として、Modさんが自著(紙の本)を発刊するうえで活用したkickstarter.comでの体験が語られました。要約すると、著者と読者がオンラインコミュニティを通じて直接結びつくことでファンディングからマーケティングに至る出版に必要な一切合切が手に入り、結果的に出版社抜きでもちゃんと本が出ました、とのこと。

明るい展望を見せていただきました。iPadをいじりまわすよりも大事なことを教えていただいたような気がします。引き続きよく考えてみたいと思います。

BOOK

4 thoughts on “iPadより大事なこと”

  1. 私が電子書籍(とりわけ教科書)に対してモヤモヤしている問題に一つの輪郭をつけていただけたような気がします。

  2. デジタルの世界では、小さなものが階層的に集まって大きなものになっていることが多いですよね。本や雑誌もそういう考え方がいいのかなー、とか。

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