第四艦隊事件

吉村昭著『空白の戦記』を読みました。古い本ですが、気になることがあって調べていたらKindle版が見つかって、即買って、即読んだ。

何を調べていたかというと、昭和10年に起きた第四艦隊事件という海難事故のことです。演習のため太平洋上へ向かっていた海軍の艦隊が猛烈な台風に遭遇し、多くの艦が大きな損傷を受け、死傷者多数が発生した事件です。とくに駆逐艦2隻は、三角波によって艦首がもげるダメージを受けます。Wikipediaには次のような記述があります。

特に最新鋭の吹雪型(特型)駆逐艦2隻は波浪により艦橋付近から前の艦首部分が切断されるという甚大な被害を受けた。なおこの際、初雪の艦首を発見した那智は、曳航を試みるものの高波のため断念、更にこの中には暗号解読表などの機密書類を保管している電信室があり、漂流した結果他国の手に渡ってしまう事態を回避するため、やむなく艦首部内の生存者ごと艦砲射撃で沈めている。

怖いですな。「やむなく」とありますが、どういういきさつだったか気になってしかたがなかったので、詳しい本を探していたら、先述の『空白の戦記』があって、Kindle版もあって、一気に読んじゃったというわけです。怖さに悲しさが加わりました。他の戦記も怖い悲惨な話ばかりだった。吉村昭の他の本はけっこう読んでいるはずなんですが、あまり記憶にないので、Kindle版を片っ端から買って読んでしまいそうです。危険。

空白の戦記