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2001/04/14 03:35 夜の映画館

スターリングラードを観に、夜九時の映画館へ。
いい席を確保して、一息つきながらふと横を見ると、
同じ列に渋い和服を着て、下駄を履き、杖をついた老人が
超然とした表情で座っていた。

それを見て「ああ、このおじいさんは若い頃戦争に行って
苦労したんだな。いまは、おばあさんとふたり年金でひっそり
くらしているけれど、ときどきこうして戦争映画を観ながら、
あの時代を振り返っているのだなあ」などと、勝手にドラマを
作っていたら、ひとりの女性がやってきて老人の隣に座った。

白いジャケットに赤くてタイトなスカート。髪はひっつめで、
お化粧は濃いめ。スナックのママ風。年齢は、40いってない
かもしれない。老人に長年連れ添った妻にはまったく見えない。

ドラマは修正。この老人は右翼の大立て者で……と、新たな
世界観を構築していたら、ドサッと、わたくしとその老人の
間に、迷彩服を着た目つきの鋭いやや巨体気味の男が座った。
スターリングラードを観に迷彩服を着てくるヤツ。悪い意味で
「わかりやすいヤツ」と思った。ちょっと落ちかない気分になった。

あと数分で開幕というころに、金髪の白人が、さえないスーツを
着た日本人男性と入ってきた。わたくしの前を横切るときに
ハッキリその顔をみたけれど、わたくしの見たところでは、
ロシア人の顔立ちだった。表情はキツイけどかなりの美人。
「その女性のふるさとはボルゴグラードで……」とまた、勝手に
ドラマを作っていたら、映画が始まった。広告も予告編もなし。

原題の"ENEMY AT THE GATE"がロシア構成主義っぽい(?)
タイプグラフィーで表示される。かっこいい。T-34の砲塔を
載せた装甲列車、急降下してくるスツーカ……。想像して
いたよりも、ミリタリー描写は凝っている。予告編では、LOVE
要素が前面に押し出されていたけど、それほどでもなかった。
ケチを付けたいところはあるけれど、満足しました。

ページビューは111200。金曜日はヘコむかな、と思ったんですが、
依然として強い数字です。ありがとうございます。


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