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2005/06/22 00:10 ミルフィーユ反対

無停電電源装置を持って渋谷の街を歩いていたら、みるみる
ヒットポイントが減少していって、負の領域に。このままでは
倒れると思って蕎麦屋に入り、カツ丼もり蕎麦セットを注文。

出てきたカツ丼はミニどんぶりとはいいつつもそれなりの
ボリューム感で好印象。3切れの重厚なカツがとろとろの
卵に囲まれている。うまそーっ! が、しかし! ひと口
かじったところでガクゼン!

トンカツのお肉がパラパラほぐれちゃうの。一見分厚い豚肉
なんだけど、実態は薄切り肉の積層構造なんです。これが
噂のミルフィーユとんかつ?

なにかの本で見たことがあります。薄切り肉を重ね合わせて
揚げて厚みのあるトンカツを作るワザ。面白い工夫だとは
思うけど、勝手にオレのカツ丼もり蕎麦セットでやるなやコラ!
と思った。

狙ったうえでのミルフィーユだったのか。でも、成功している
とは思えなかった。カツ丼にはマッチしてなかった。もし、
見た目だけでも厚いほうがいいっしょ、と考えたのだとしたら
いただけない。見識を疑います。薄い肉しかないのなら、
そのぶん衣も軽くしてシャープなトンカツを揚げればいいんです。
トンカツと溶き卵とたれとご飯の相互作用による味と食感の
ハーモニーがカツ丼の要諦であったはず。つまり、重要なのは
バランス。肉厚を絶対視する先にあるのはカツ丼文化の衰退です。

もちろん、分厚くて程良く油の乗ったロース肉で作るトンカツは
最高ですよ。最高のトンカツで作るカツ丼は至宝であり、さらに
それをカツ丼もりそばセットにしたのなら想像力が及ぶ範囲に
おける究極の贅沢といえましょう。

だけどね、無停電電源装置の重さからつかの間解放された
おじさんには、もっとささやかなヨロコビでもじゅうぶんなんです。
カツは薄くてもいいんです。セットの蕎麦は少しくらいノビてても
いいんです。贅沢言わないんです。でも、でもね、
重ね合わせカツだけはダメだ。ダマされた気がしちゃう。
カツ丼にまで裏切られた、って思って悲しくなっちゃう。
もうなにを信じればいいのか、って思って胸が苦しくなっちゃう。
だから、日本全国の蕎麦屋関係者のみなさんは、正々堂々
1枚肉をカラッと揚げたカツ丼を作ってください! フナポンからの
お願いでした!

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